夢を捨てた俺に忘れない夏が来たpart1

   

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1: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2015/10/29(木) 00:42:59.97 ID:sYzRLdDP0.net
夢を捨てて二浪した俺が、一夏に体験した忘れない思い出
暇な奴がいたら聞いてくれ

夢を諦めた・忘れたって人がいたら、特に聞いて欲しい

3: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2015/10/29(木) 00:45:47.96 ID:sYzRLdDP0.net
俺は高校時代、バレー少年だった
昔から背だけは高くて、中学の時に何の気なしに始めたバレーボールだった。
これが本当に面白くて、俺はたちまち虜になった。

4: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2015/10/29(木) 00:46:57.52 ID:sYzRLdDP0.net
仲間と協力して連携プレーを決めた時。
捕れない!と思ったボールに滑りこんで指先で上げた時の快感。
何より、相手のブロックを打ち抜いてスパイクを決めた時の歓声。

俺はその全てに魅せられ、バレーボールに夢中になった。

6: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2015/10/29(木) 00:50:23.02 ID:sYzRLdDP0.net
中学の時は弱小校ながらも熱心な顧問の元、エースとして頑張った。
その甲斐あってか、俺は都内でもそれなりの強豪と呼ばれる高校の監督に声をかけられ
そこでプレーすることとなった。

俺のこの進路を、両親はとても喜んでくれた。
俺がバレーで頑張ることを、いつも応援してくれていたように思う。
特に母さんは、俺が高2になるまで、本当に熱心に応援してくれていた。

9: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:00:50.65 ID:sYzRLdDP0.net
でも、俺が高2の春くらいにそんな日々がほころび始めた。
二人揃って俺のバレーを応援してくれていた両親が離婚した。

なんでも、親父に浮気の疑いがあったとかなんとか。
俺はその時、親父に対してものすごく怒りが湧いた。

俺は母さんにとても同情し、これからは俺が一人前の男になって、
母さんを支えないといけないんだ、と思った。
私立の高校に通っていたから、これからは母さんも仕事頑張るし、俺も奨学金でなんとかやっていくよ、
なんて二人でよく話していた。

10: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:06:38.66 ID:sYzRLdDP0.net
でも、母さんは離婚から半年も経たないうちに、新しい男を家に連れてきた。
俺はそれが信じられなかった。
正直、ショックで言葉も出なかった。

まだガキだった俺には、すぐに現実を飲み込むことができなかったが、
それでも母さんが、家族が、幸せにやっていけるならそれでいいんだと言い聞かせ、
なんとか状況を受け入れることができた。

11: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:11:55.29 ID:sYzRLdDP0.net
新しくきた男は、義父ということになるんだが、すぐにはなじめなかった。
なんでも都内の大手銀行に勤めているという、お堅い男だった。
俺はその男のことを、決して父さんとは呼べなかった。

だって俺は、別れてしまったけど、元の親父の事が大好きだったからだ。
ちょっとテキトーでだらしない所もあったけれど、
俺はそんな親父の事が大好きだった。
でも、大好きという気持ちだけでは「家庭」は上手くいかなかった。
きっと現実なんて、そんなもんなんだろうな。

だからこうして母さんは親父と別れ、新しい男が家にやってきた。
単純に、それだけのことだったのだ。

12: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:14:46.21 ID:/sVPUO3b0.net
支援
部活って親からのバックアップが大事だもんなぁ
こういう家庭環境だと辛そうだ

13: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:23:17.53 ID:sYzRLdDP0.net
その男が来てからというもの、母さんが俺から学校の事や、部活の事を聞く機会がめっきり減った。
毎日欠かさず作ってくれていた弁当も作ってくれなくなった。
朝、「ごめんね」と言いながら俺に千円札を渡すだけになった。

昼休み、毎日クラスの奴らと一緒に弁当を食っていた習慣も、
俺だけ一人、千円札を握りしめて学食に行く日々に変わった。
母さんが離婚してから、少しずつだけど俺の毎日も変化が起き始めていたんだ。

14: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:25:49.35 ID:sYzRLdDP0.net
そんな風にして、突然の環境の変化で気持ちが追いつかず、フワフワしていた時だった。
俺の人生において最悪の日が来た。

高2の夏も終わり、秋の入口が見えてきた頃だったろうか。
去年の春高バレーの予選で悔しい想いをした俺のチームは、
春高バレーの予選に向けて、猛練習をしていた。

15: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:27:29.24 ID:sYzRLdDP0.net
その時俺はすでにエースとして、チームを引っ張る立場だったから、
その日の練習でも、スパイク打ち込みをやっていた。
本当に、いつも通り打ったつもりだった。

ネットの向こう側には後輩たちがレシーブしようと構えていて、
後ろからは、「いけー!」というチームメイトの掛け声が聞こえた気がした。

16: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:29:13.29 ID:sYzRLdDP0.net
着地した瞬間に腰に激痛が走って、
俺はうめき声を上げてその場にうずくまった。

もう立ち上がることすらできなくなってしまい、
その日のうちに監督の車に乗せられ、病院に運ばれた。

俺は重度のヘルニアになり、腰を痛めてしまった。

18: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:32:25.34 ID:sYzRLdDP0.net
前々からフォームに癖があり、腰に負担をかけるぞ、
と監督に言われていた矢先の事だった。

医者から告げられたのは、
「手術するかぎりぎりのライン。少なくとも1年くらいは安静にしろ」という内容だった。
薬を飲んで、安静にしているのが一番の治療だ。
ヘタしたら一生スポーツの出来ない体になる、と言われた。

1年間安静、それはすなわち、もう高校バレーは諦めろ、と言われたのと同じだった。
しかも、1年間安静にしたところで完治する保証もなかった。
跳びあがって、思い切りスパイクすることは最早困難だろう、とまで言われた。

19: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:35:33.03 ID:sYzRLdDP0.net
大好きで、ずっとずっと続けてきたバレーボール。
春高バレーの舞台に立って、あのオレンジコートの中で
仲間と同じ景色を見るのが、夢だった。

俺は冗談じゃなく、本当に夢に見ていたんだ。

それが突然奪われてしまうという喪失感、残酷さ、
俺はどうしようもなく落ち込んで塞ぎこんでしまい、高校を数日間休んだ。
俺からバレーボールがなくなったら、一体これから何をすればいい?
そんな思考が頭の中を駆け巡った。

20: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:38:13.67 ID:/sVPUO3b0.net
うわぁ…つらい

21: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:39:18.13 ID:sYzRLdDP0.net
こういう状況になった時、
「俺はそれでも好きだから、マネージャーになって影で支えるぜ」
なんて行動に出る人もいるんだろうが、俺は全然違った。

腰を痛めたあと、俺は硬いコルセットを巻いて部活の手伝いをしたんだが、
コートの中で力いっぱいに躍動するチームメイトたちを見ているのは、
本当に辛かった。

22: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:41:55.69 ID:sYzRLdDP0.net
本当は、俺もあのコートの中にいるはずだった。
見るだけで、何も出来ない自分。

俺は、バレーを見ていたいんじゃない。あのコートの中で、誰よりも高く飛んで、
俺の視界を塞ぐ3枚ブロックを突き破りたいんだ!
自分勝手かもしれないが、俺には本当にそんな風にしか思えなかった。

そして俺は仲間たちの春高予選を見届け、バレーボール部を退部した。

24: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:43:08.14 ID:sYzRLdDP0.net
それからの日々は、毎日頭にちらつくバレーボールの事を忘れるのに必死だった。
監督やチームメイトも、俺を強く引き止めることはなかった。
俺の落ち込みようが本当に凄まじかったからだと思う。

ただ、ひどく残念がっていた。
お前がプレーできなくなるなんて、1がいなくなるなんて、とただ悲しんでくれていた。

26: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:49:34.11 ID:sYzRLdDP0.net
そんな目的を失って絶望していた俺は、
想いを寄せていた女の子に気持ちを伝えようと考えた。
1年のバレーをやっていた頃からずっと好きだった、美香という同級生だ。

俺の事をいつも応援してくれていて、事あるごとに放課後体育館に来ては
バレー部の部活の様子を見ていた。
周囲からは「両想いなんだぞ!」と囃し立てられたこともあった。

バレーを失ってからっぽだった俺には、美香という好きな女の子への気持ちだけが残っていた。
だから俺は寂しさや悔しさを紛らわすために、美香と一緒にいたい、と強く願った。
けど、美香から返ってきた言葉は俺の想像とは違うものだった。

27: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:50:57.87 ID:sYzRLdDP0.net
美香「え、1ってケガしてバレーできなくなっちゃったの」
美香「残念だなぁ。私は、バレーをやっている1がかっこよくて好きだったのに」
美香「…ごめんね」

俺は、好きだった子に、あっけなくふられたのだった。

俺は、バレーボールができなければなんなんだろう?
バレーのない俺なんて、一体何のためにここにいるんだろう?
美香のこの言葉に俺は深く傷ついて、もうどうしてかいいか分からなくなってしまった。

29: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:54:15.06 ID:sYzRLdDP0.net
それからは毎日夢で見てうなされるほどになった。
白光がふりそそぐ体育館のオレンジコートの中で、セッターのイイダ(チームメイトだった)が
いい感じにふわっと浮かせたボールを、
誰よりも高く飛んで、打ち下ろす。

瞬間、一際大きな歓声を一身に浴びて、コートの中を走り回って…
そんな夢だ。
目が覚めるととてつもない虚無感に襲われ、泣きそうになった。

30: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:55:48.06 ID:sYzRLdDP0.net
3年になった頃、元々部活には消極的で、
難関大への進学を望んでいた義父の影響もあり、
俺は大学進学を目指して、身を粉にして受験勉強に向かった。

母さんも「きっとそれがいい」と言っていた。

31: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:57:42.74 ID:sYzRLdDP0.net
いざ受験勉強を始めてみると、
俺が今までずっとバレーボールを続けてきたことなんて嘘のようで、
何もかも最初からなかったんじゃないのか、と感じた。

初めて綺麗にサーブカットを上げられたあの時の達成感も、
先輩たちに囲まれて初めて公式戦に出たあの時の緊張感も、
みんなで組んだ円陣も、スクイズボトルの冷たさも、負けて流した悔し涙も、

全部全部、夢だったんじゃないのか?
と、そんな風に感じてしまった。

32: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 01:59:22.69 ID:sYzRLdDP0.net
そんな時俺は、部屋の片隅にあった煤けたバレーボールを見ては、
「俺は確かにあそこにいたんだ。大丈夫」と自分を鼓舞した。

「バレーがしたい」「仲間と一緒に飛び跳ねたい」
そんな想いと必死に闘いながら、俺は1年間受験勉強に食らいついた。

33: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 02:00:33.93 ID:sYzRLdDP0.net
ただ、結果は残酷なもので、志望校に合格することはできなかった。
色んなものを犠牲にして臨んだ受験だったはずなのに、俺の努力は実らなかった。
義父は考える間もなく、「浪人にしろ」と俺にすすめた。

何もかも上手くいかない現実に、俺は本当に荒れそうになったが、
「車の免許だけはとらせて欲しい」という俺の希望を義父が飲んでくれたので、
俺はなんとか浪人して勉強しようという気になれたのだった。

34: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 02:02:05.43 ID:sYzRLdDP0.net
義父のすすめで、俺は新宿の某予備校に通うこととなった。
浪人中は、本当に辛かった。
どうして俺はこんなところで、やりたくもない勉強をしているんだろうか?
何のために?自分のため?将来のため?

本当は俺は、今頃大学で大好きだったバレーをやっているはずだった…
浪人しても、バレーへの未練はまったく消えていなかった。

35: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 02:06:01.04 ID:sYzRLdDP0.net
中学生の時からずっと思い描いていた夢。理想の自分。
その夢と現実とのギャップは、19歳の俺を苦しめるには、十分すぎるものだった。

今思えば、少し甘えていたような気もするが、
夢を失うっていうのは、本当に「つらい」の一言では片付けられない。

浪人して、夏が過ぎ、秋が終わり、あっという間に冬が来た。
さすがの俺も「今度こそは」と思っていた1月のこと。
センター試験を一週間後に控え、世の中は受験に関係ない人達でさえも、
なんとなく「受験ムード」に包まれ始める。

38: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 02:09:31.22 ID:sYzRLdDP0.net
そんな折、俺の家の近所の体育館で「あれ」をやっているという事を耳にする。
春高バレーの決勝だった。
俺がずっとずっと追い求めていた、夢の舞台。

その年は、なぜだか知らないが埼玉の片田舎の体育館で春高の決勝が行われており、
俺の家からすぐに行ける場所だった。
俺は行こうか行かまいか、心底悩んだ。

39: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 02:11:27.12 ID:sYzRLdDP0.net
センター試験は一週間後。
世間の受験生は今頃死ぬほど追い込みをかけている…
それまで受験のために、バレー関係の事は全て意図的に避けていたのだが…

もう、自分の気持ちに嘘はつけなかった。
俺の見れなかった夢舞台、見に行こうじゃないか!

内心、罪悪感や焦る気持ちもあったが、
久しぶりに「あの空気」を感じられると思うと、嘘のようにワクワクしている自分がいた。

56: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 22:45:49.95 ID:wtNnxcQB0.net
体育館に着いてみると、中は満員だった。
中学の時にも一度春高の決勝は見に行ったことがあったが、
その時以上に混んでいた。

注目の対戦カードは、S高校-O高校。
注目の大エース擁する優勝候補のSと、変幻自在のOがどんな戦いをするのか。

俺はこの決勝に、本当にワクワクしていた。
応援の歓声も、会場の熱気も、とても真冬とは思えない。
ああ、これだ!この感覚!と笑顔になるのを抑えきれなかった。

57: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 22:57:49.28 ID:wtNnxcQB0.net
試合はやはりS高有利に進んでいく。
両者の高校も、バシン!と決めて一点入るたびに、
ワッ!と歓声が起きて、「ドドドドドン!」と応援の地響きが湧き上がる。

俺も一緒に「オッケーー!」と叫んでしまう。
大エースを率いるS高に世間の注目が集まる中、俺は近くにいた高校生の会話が耳に入った。

「O高のレフトエース、身長175ないらしいよ」
「らしいねー。ほんと、どんだけ飛ぶんだって感じ」
「しかも2年生って、すごいよなぁ」

58: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 23:02:19.96 ID:wtNnxcQB0.net
俺はこの会話に耳を疑った。
確かにコートを見てみれば、
オレンジコートで躍動するその姿は、どの選手よりも小柄に見えた。

でも、誰よりも高く飛んで、その小柄な体で大きなブロックを打ち抜いていく。
それも、春高バレーの決勝の舞台で。

彼が決めるたびに、チームが沸き立つ。風が吹く。走り回る。
俺は、この時見たO高校のエースの姿が、目に焼き付いて離れない。

60: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 23:12:41.09 ID:wtNnxcQB0.net
それはまるで俺に、
「できないことなんて何もない。諦めなければ誰だって輝ける」
と言っているかのようだった。

試合も終盤に差し掛かれば、
1プレー1プレーに悲鳴のような歓声が湧き起こる。
最後はやっぱり、S高の大エースのサーブで決まり、S高校は優勝した。

62: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 23:18:02.27 ID:wtNnxcQB0.net
オレンジコートの真ん中で、感極まって抱き合うS高校に、
がっくりとうなだれ、コートの外に並んでそれを見つめるO高校。
まさに明と暗。しかし、負けてもなお表情を崩さず、凛と相手の栄誉を称えるように、
コートの外に佇むその姿は、美しささえあった。

俺は、強く憧れた。
優勝したS高校にも、散ってしまったがコートに沢山の風を吹かせたO高校にも。
俺は強く憧れ、もう戻れないバレーの日々を思い出した。

63: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 23:20:26.99 ID:wtNnxcQB0.net
俺もあんな風に飛んでみたかった。
どうして俺は…こんな腰にならなければ!
そんなことを思ってしまった。

憧れの舞台で輝いていた彼らを見て、キラキラした感情が込み上げた裏で、
何もできない自分に対する絶望の念が、心にずっしりとのしかかった。

高く高く舞い上がって躍動していたO高校のエースの姿が、
俺の心に刻み込まれて、離れなくなった。

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64: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/29(木) 23:26:35.94 ID:wtNnxcQB0.net
そして俺は、そんなバレーへの情念を忘れられないまま、
一週間後のセンター試験を迎え、案の定、失敗した。
その後の本試験も、そのまま上手くいかなかった。

自分でもバカだなって思う。
バレーを諦めて勉強に専念しているのに、その勉強すらおぼつかない。
俺は何にもなれない、なんて半端者なんだろうって、自分でも馬鹿らしかった。

そのまま義父に強く叱責を受けて、俺はそのまま2浪した。
自分の行く先も、将来も、何もかもが不透明なまま、
失った夢の幻影だけが心にずっしりと残って、
俺は再び浪人の一年を迎えたのだった。

65: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/30(金) 01:02:54.70 ID:UNc5U78V0.net
義父も何かを感じ取ったのか、
さすがに新宿の予備校は負担が大きいだろうと言って、
2浪目からは、家の近所の予備校に通うこととなった。

だが俺の腐り加減は凄まじく、予備校に通うフリをして、
毎日公園に行ってぼーっとしたり、ゲーセンに一日中篭っていたりした。

66: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/30(金) 01:07:07.00 ID:UNc5U78V0.net
時には、夜も友達の家に泊まると偽り、
秋葉のアニクラに行って朝まで騒いでいる、なんてこともあった。

バレーに夢中だった頃の自分なんてすっかり影を潜め、
もう本当に、ただの「ダメ人間」でしかなくなっていた。
それを自覚する度、昔の自分や、昔の仲間、美香のあの一言、そして、
春高のオレンジコートで羽ばたいていた、あの小さなエースの事を思い出した。

67: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/30(金) 01:10:39.85 ID:UNc5U78V0.net
もう俺には何も出来ない。
あんな風に輝けることは、一生ない。
そんな気持ちだけが、いつも心にあった。

夏前になって、予備校に連絡を入れた義父によって、
俺が予備校をすっかりさぼっていることがバレて、本当にひどく怒られた。
そこで、義父から思いもよらない提案を受けた。

68: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/30(金) 01:19:45.66 ID:UNc5U78V0.net
義父「お前は東京にいるから、勉強に散漫になるんだ」
義父「夏の間、田舎に行って勉強に集中してこい。俺の実家に泊まれるから」

それはまったく予期せぬことで、
俺はこの提案に驚いたが、自分でもちょうど東京から少し離れたいと思っていた。
全然知らないところに行って、少し何も考えない時間が欲しかった。
勉強するかは、別として。

69: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/ 2015/10/30(金) 01:20:34.63 ID:Ah5NM3RE0.net
いい義父さんで良かったな

70: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/30(金) 01:22:58.21 ID:UNc5U78V0.net
俺は義父の提案を受け入れて、2浪目の夏、
義父の故郷の田舎に行くこととなった。

72: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/30(金) 01:49:34.75 ID:UNc5U78V0.net
そんなわけで、簡単な着替え一式と勉強道具を担いで
一路義父の故郷へと向かうことになった。

季節は7月も中盤。まさに、夏の始まりの頃だった。
新宿から慣れない特急列車に乗った。
高1の時、Vリーグの試合観戦のために一度だけ乗ったことのある特急だった。

そして揺られること1時間以上、幾つものトンネルを抜けて、
山あいの田舎に辿り着いた。

73: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/30(金) 01:56:12.71 ID:UNc5U78V0.net
電車から降りると、けたたましいほどの蝉の声が俺を包んで、むわっと熱気を感じた。
でもそれは東京とは違って嫌な熱気ではなく、
どこか溌剌とした、爽やかな暑さだった。

小さな駅舎の古びた改札を抜けると、
目の前には信じられないほどひらけた景色が広がっていた。
少しだけ標高が高く、視界を遮るものが何もないから、遠くの山がよく見える。

山と青空の境目がくっきりと浮き立っていて、遠くには麓の市街地が見えた。

74: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/30(金) 02:12:18.14 ID:UNc5U78V0.net
山側を振り返ると、畑のようなものが斜面にいくつも広がっていて、
これが教科書で見た「扇状地」ってやつなのかも、って思った。
そこら中を沢山の緑や畑が埋め尽くしていて、
「ああ、これは田舎だわな」とすぐに思った。

一体なんの畑なのか、木の棒が打ち付けられた畑が沢山並んでいる。
よく見れば房のようなものがぶら下がっていて、ぶどう畑か何かなのかな、と思った。

75: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/30(金) 02:16:27.66 ID:UNc5U78V0.net
駅に面した道はそれなりの大きさだけど、
ぐらぐらと陽炎で揺れていて、滅多に車が通る様子もない。

道沿いには軽トラが止められていて、
近所のおばさんたちが世間話をしている。
なんてのんきな所なのか。

生まれてからずっと東京で過ごしてきた俺にとっては、
「本当にこんなところもあるんだな」と太陽の熱射線に朦朧としながら思った。

76: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/30(金) 02:26:25.11 ID:UNc5U78V0.net
義父からもらった地図を頼りに、駅前の道を右に進んで、
線路沿いの坂道をずっと登って行く。

坂道には木漏れ日がちらちらと差し込み、蝉しぐれが降り注いだ。
暑くて暑くて、もうダメだ、なんて思っていると突き当りにタバコ屋があって、
そこを右にまがって線路を越えると、義父の実家があった。

90: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 00:23:35.12 ID:KRQaq1Jm0.net
「○○書道教室」と小さな看板が掲げられていて、入り口が二つあった。
「書道教室ってことはここだな…」と思いつつ、
なかなか家に入れずその場で立っていた。

わきにまた木の杭の打たれた畑があって、
「ここにもあるよ」と思ってまじまじと眺めた。
やっぱり実っているのはぶどうで、この家でもぶどう作ってるのかな、
なんて余計な事を考えていた。

92: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 00:28:22.93 ID:KRQaq1Jm0.net
そんな風にして数分家の前で立っていると、
ガシャン、と自転車を降りる音が聞こえた。
振り返ると、大きなエナメルのバッグを背負った制服の女の子が立っていて、
そわそわした様子で俺を見ていた。

俺は焦ってすぐさま「こんにちは、」と言うと、
女の子も「どうも…」と小さく会釈をした。
炎天下の中自転車をずっと漕いできたのか、顔は真っ赤だった。

93: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 00:32:10.89 ID:KRQaq1Jm0.net
そのまま家の横の水道の近くに自転車を置くと、ぱたぱたと家の中に入って行き、
「お母さん、来てるよー!」と声を上げた。
俺は瞬時に、「行かなきゃ」と思って、続けざますぐに家に入った。

家の中にはおばさんがいて、
「はじめまして、1君来てたんだね」と俺に挨拶してくれた。

「聞いてはいたけど、やっぱり背が大きいね」
ちなみにおばさんは義父の弟の嫁さんに当たる。
俺も初対面で緊張していたが、ここに来るまでに何度か電話で話した事はあった。

95: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 00:36:35.41 ID:KRQaq1Jm0.net
俺が、「お世話になります」と言うと、優しく笑って
「1君の部屋は2階のあいてるとこだから。荷物、入れちゃってね」と言ってくれた。

そのあとすぐに、おばさんが
「奈央!ローファーのかかと踏んじゃダメだっていつも言ってるでしょ!」
と声をあげると、2階から
「うるさいなぁ!分かったよ!」という女の子の声が返ってきた。

そこには確かに、かかとを踏み潰されたローファーが転がっていて、
俺はそのやりとりが微笑ましくて、思わず笑ってしまった。

97: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 00:41:08.70 ID:KRQaq1Jm0.net
自分の荷物を2階の部屋に入れ、1階のリビング(と言っても、畳張りなのだが)へ降りると、
台所から出てきたおばさんにすぐに声をかけられた。

おばさん「悪いじゃんね、奈央がうるさいと思うけど、許してあげて」
俺はすぐにあの子の事だな、と察して、
「いえいえ、全然大丈夫ですよw」と答えた。

俺「奈央ちゃんは、今何年生なんですか?」
おばさん「高3だよ、だから受験なの~」
俺「え、そうなんですか」
俺は自分と2つしか歳が変わらない事に驚いた。

98: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 00:44:53.64 ID:KRQaq1Jm0.net
おばさん「全然勉強する気がないから、困るじゃんねー、1君勉強教えてあげてw」
そう言われて俺は、「それはさすがにw」と苦笑してしまった。

おばさん「ここまで来るの、迷わなかった?」
俺「あ、それが。案外すんんり来れましたね」
俺がそう言うと、おばさんは「わ、それはすごい」と驚いた様子だった。

おばさん「そうそう、スイカがあるんだった。切ってあげるから、1君食べなよ」
俺「え、そんな、悪いですよ」
おばさん「いいのいいの。暑い中歩いてきて、喉も渇いたでしょう」
おばさん「今、冷たい麦茶とスイカ出すからね。待ってて」

ぱたぱたと支度を始めるおばさんを前に、俺も言葉に甘えてしまう。

99: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 00:49:24.78 ID:KRQaq1Jm0.net
遠慮しつつも、炎天下の中を歩いてきてとても疲れていたから、
冷たい麦茶にスイカ、考えただけでワクワクしてしまった。

おばさん「奈央ー!スイカ切ったげるから、1君と一緒に食べたらー!」
おばさんが、階段下から2階に向かって呼びかける。
だけど反応はなく、奈央が下に降りてくる様子はない。

おばさん「うーん、あの調子じゃ、来ないかも」
俺の方を見て申し訳無さそうに苦笑いするおばさんを見て、俺は答える。
俺「いや、それは仕方ないですよ。こっちも突然押しかけて、申し訳ないです」

101: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 00:55:20.58 ID:KRQaq1Jm0.net
おばさん「いや、全然そんなことはないんだけどw」
おばさん「あの子、人見知りだから。慣れるまで、ちょーっと時間かかるかもね」
おばさんはそう言い残して、いそいそと台所へと入っていった。

しばらくすると、俺の期待通りのスイカと、氷がごろごろと入ったグラスに麦茶が出てきて、
思わず「うわ、すごい!」と口をついて出てしまった。

「いただきます」と言ってスイカを頬張ると、
まだ少し早い、夏の入り口をかじったような気がして、
受験勉強をしに来たというのに、心が躍った。

102: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 00:56:36.66 ID:KRQaq1Jm0.net
おばさん「ごめんね、こんなスイカしかなくてさ」
おばさん「夜は、もうちょっとちゃんとするからね」
俺「いや、とんでもないですよ。スイカ、久しぶりに食べました」

俺「こんなに、美味しかったんですね」
俺が感激してそう言うと、
おばさんは少し笑って「それならよかった」と安堵の表情を浮かべた。

103: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 00:58:05.76 ID:KRQaq1Jm0.net
そんな風にして、俺はスイカを食べながらテレビで昼過ぎのワイドショーなんかを見て、
まだ始まったばかりのゆったりとした夏の時間を過ごしていた。

すると、ぱたぱたぱた、と慌ただしい音が聴こえてきて、玄関の方から声がした。

奈央「お母さーん!ちょっと、出かけてくるからね」
おばさん「あら、どこ行くの」
奈央「ちょっと友達と勉強しに行ってくる」
おばさん「勉強なんて、家でもできるのに」
奈央「家じゃ集中できないの!」

俺はもう食べきったスイカを眺めながら、ぽかーんとその会話に耳を傾けていた。

104: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 00:59:43.86 ID:KRQaq1Jm0.net
奈央「じゃあね!」
おばさん「ちょっと奈央、夕飯はどうするの」
奈央「多分夕方には帰ってくるから、食べる!」
おばさん「気をつけて行くのよ!」

そして、バタン!と音がすると、窓の外でガシャ、と自転車を出す音が聞こえて、
奈央は勢い良く出かけていった。
俺は一連のその様子を見て、このクソ暑いのに元気だなーなんて思っていた。

「ごちそうさまでした」と言いながらスイカの器を台所まで運んでいき、
「あら、そのままで良かったのに」なんて言われながら「いえ」と会釈して、
再び自室である2階の部屋に戻った。

105: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 01:02:23.64 ID:KRQaq1Jm0.net
畳六畳ほどはあろうかという部屋に、整然とたたまれた布団が置いてあって、
その脇には小さな机が置かれていた。
扇風機なんかもおいてあって、窓からは山あいの緑の景色と青空が広がっていた。

扇風機のスイッチを入れて、心地良い風を浴びながらその景色を眺めると、
「夢みたいなところに来ちゃったなぁ」と思った。

おまけに、窓際に吊るされたくすんだ風鈴の「チリン」という音が、
その夢見心地になおさら拍車をかけるようだった。

106: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 01:05:59.62 ID:KRQaq1Jm0.net
あんまりに気持ちいいものだから、
俺はそのまま畳まれていた布団にもたれかかって横になった。
でも、こんな状況になっても浮かんでくるのはやっぱりバレーのことだった。

半分眠りに落ちていくフワフワとした頭のなかで、
コートを駆け巡ったあの日の光景とか、美香に言われたあの一言とか、
春高の決勝で羽ばたいていたあのエースのこととか、

色んな記憶が頭をよぎった。

107: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 01:07:05.62 ID:KRQaq1Jm0.net
そんな事を考えているうちに、俺はすっかり眠ってしまって、
目が覚めるとすっかり外は夕方の光景に様変わりしていた。

さっきまでの真っ白な陽の光ではなく、景色は若干オレンジがかっていた。
体中汗だくになっていて、俺はリュックに入っていた生ぬるい水を飲んだ。
そんな風にしてぼーっとしていると、窓から風が入ってきて風鈴が音を立てる。

ああ、やっぱり夢じゃなかったのか、なんてぼんやりと考えていると、
何やら「バン、バン」とボールを弾く音が外から聴こえた。

108: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 01:09:52.24 ID:KRQaq1Jm0.net
「なんだなんだ」と不思議に思って、窓から外を眺めてみても、
その音の正体は掴めなかった。

俺は仕方なく、起き抜けの怠い体で1階に降りていき、玄関から外へ出た。
夕方とはいえ、外に出ると熱気が一気に押し寄せてきて、心が折れそうだった。
とても近くで、ジワジワジワジワ…と蝉が鳴く声が聞こえた。

家のもう一つのドア(書道教室側)の前には沢山の自転車が止まっていて、
どうやら書道教室の時間になっていたらしい。
おばあちゃん、義父の母にあたる人がここで書道教室をしている、
というのは話に聞いていた。

109: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 01:12:29.34 ID:KRQaq1Jm0.net
もしかしたら、さっきの音はこの教室からだったのか?なんて思ったけど、
家の裏の方から「ばん!」とボールを叩く音が聞こえて、
俺はすぐに家の裏へと回った。

俺「あ……」
奈央「あ、どうも…」
そこには、家の裏手の斜面に向かって壁打ちをしている奈央がいた。
しかも、持っているボールは紛れもなくバレーボールだった。
俺はそれに気付いて、瞬時にドキッとしてしまった。

110: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 01:14:34.87 ID:KRQaq1Jm0.net
俺「練習…かな?バレーするんだね」
奈央「ええ…まあ」
奈央はそう言うと、軽く頷いて再び壁打ちを始めた。

俺「3年生って聞いたけど、部活はまだ引退じゃないんだ」
奈央「…はい。最後の試合がまだあるんで」
練習の邪魔をされたくない、とでも言わんばかりに、
奈央は俺の質問に淡々と答えた。

111: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 01:17:02.34 ID:KRQaq1Jm0.net
俺「バレーって、楽しいよね」
俺のその一言にはっとしたように、奈央はこちらを見た。
奈央「え、バレーやってたんですか?」

俺「うん、ずっとやってたよ。すっごい好きだった」
奈央「そうなんですか…!そういえば、東京って…どんな高校だったんですか?」
先ほどまでの平板な顔色が一変して、奈央の表情が笑顔に変わっていた。

俺はそれに気付いて少し嬉しくなりながら、会話を続けた。
俺「うーん…まあまあ強かったかなぁ…○○高校っていう…」
奈央「あ、なんか聞いたことあります」
俺「そっか、それは嬉しいな」

112: 1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/ 2015/10/31(土) 01:22:15.45 ID:KRQaq1Jm0.net
ジワジワジワ…という蝉の声が俺たちを包んで、少しだけ空間が間延びした。
奈央は、一心に壁打ちを続けた。

奈央「じゃあ…その、けっこう本気でやってたんですか」
俺「ん…まあね。春高出場とか、もっと言えば優勝とか…考えてたな」
奈央「すごい…え、でも。もうバレーは…?」

奈央の質問にちょっとだけドキッとしたものの、俺は続けた。
俺「まあ、色々あって…やめちゃったんだよね」
奈央「そうなんですか…」
俺「ん、まあね」


管理人『夢を捨てた俺に忘れない夏が来たpart2

引用元: 夢を捨てた俺に忘れない夏が来たhttp://hayabusa3.2ch.sc/test/read.cgi/news4viptasu/1446046979/

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